信長、マーケティングで天下獲り

~第2回「信長、OMOを学ぶ」~

  • 2020.04.22

登場人物

織田信長

信長

 

  

織田信長
言わずとしれた、戦国時代の天下人。
どういうわけか現代にタイプスリップを果たし、現代でマーケティングを学ぶことに。 

英義

 

  

橋場英義(ハシバヒデヨシ)
CCCマーケティング株式会社に務めるプロのマーケティングコンサルタント。
かの“羽柴秀吉”とは、なんの関係もないらしい。

 

信長、バナナジュースの店を始める

織田信長

信長

ご免!サル!サルはおるか!

英義

あ、信長さん、こんにちは。

(サルと呼ばれて反応しちゃったよ……)

英義

あれ、今日はどうしたんですか、バナナなんて食べながら 

織田信長

信長

おお、サルにはまだ言うてなかったか。

実はわしはバナナが大好物でな。

商売を始めるなら、自分の好きなものからやったほうがよかろうと思い、先日、バナナのオンラインショップを始めたんじゃ。

織田信長

信長

『信長バナナ』という商品なんじゃが、育て方には相当こだわっておるので、味には自信がある。

サルもひとつ食うてみろ

英義

いただきます!

……うん、これはお世辞抜きでおいしいです!

甘くてコクがあって、もっちりしているのにさっぱりした後味で。

これは売れますよ!

織田信長

信長

じゃろう?

この前お主から聞いた『購買行動モデル』で分析しながら売っておるが、評判がよくてのう。

織田信長

信長

近ごろはJKにバナナジュースが人気だという話を聞いたので、今度は、バナナとバナナジュースを売る店始めることにしたんじゃ

英義

JK、ですか……。

信長さん、だいぶ現代に馴染んできましたね

織田信長

信長

そう誉めんでもよい。

それでじゃ、つい先日、如何わしい風体の者が近づいてきて『スマホでの購買データを統合しましょう』やら『オンラインクーポンを発行できるサービスを紹介します』やら言うてきよっての。

織田信長

信長

何の話やら、わしにはさっぱりわからん。

そやつらを斬り捨ててよいものか、サルの考えはどうじゃ?

英義

いや、信長さん!

人を斬り捨てるのはダメです、犯罪です!

英義

そもそも、その人たちが言ってるのはスマホを使ったマーケティングの方法で、別によからぬ話ではないです

織田信長

信長

なんと!まーけてぃんぐとな!

それはつまり、繁盛につながる話なのか?

英義

そうです。

今では、スマホを使ったマーケティングは欠かせませんからね。

今回は、そのお話をしましょうか?

織田信長

信長

うむ、頼む。

儲かる話なら大歓迎じゃ。

わしもムダな殺生をせずに済みそうだしな

 

マルチチャネル、オムニチャネルとは

英義

ではまず、スマホを使ったマーケティング戦略の基本として、『マルチチャネル』と『オムニチャネル』について説明しますね。

これは一言でいえば、どこでモノを売るかという販売戦略です

織田信長

信長

うん?

客がモノを買うのは店に決まっとるだろう? 

英義

でも、信長さんが『信長バナナ』を売っているのは、現実のお店じゃなくてオンラインショップですよね?

英義

現実のお店とオンラインショップという販売チャネルを持っている企業にとって、現実とオンラインとの垣根をなくしていこうというのが、いまのマーケティングの流れなんです

織田信長

信長

うーむ、ようわからんぞ?

英義

では、具体的にするために、今度信長さんがオープンするお店―これを実店舗と呼びますね―を例に説明しましょう。

英義

マルチチャネル戦略とは、複数の販売チャネルを用意するということで、『信長バナナ』の場合、お客さんはオンラインショップか、あるいは実店舗のいずれかで買えることになります。

ただし2つの店舗の間では、在庫情報や顧客情報を共有していません

英義

だから、お客さんが実店舗に行ってバナナが品切れだった場合、どうしても『信長バナナ』をほしかったら、お客さんはあらためてオンラインショップにアクセスする必要があります

織田信長

信長

ふむ。

“まるちちゃねる”とやらは、実店舗とオンラインショップは同じ看板をかけて、同じ信長バナナを売っているものの、実際は別の店というわけじゃな?

英義

そう考えてもらって問題ないと思います。

でも、実店舗に在庫がないからといって、せっかく来たお客さんに『自分でオンラインショップで買ってね』というのもちょっと不親切ですよね。

英義

しかも、オンラインショップでも在庫切れという可能性もあります。

そこで、在庫情報や顧客情報を実店舗とオンラインショップで一元化して、どちらを使っても同じように買い物ができるようにしようという戦略が『オムニチャネル』です

 

 

織田信長

信長

ん?

『同じように買える』というのは、どういうことじゃ?

英義

店頭に在庫がない場合でも、オンラインショップの分も含めた全部の在庫を店員さんが確認できる仕組みがあれば、在庫がある場合なら、顧客データと照合してお客さんの住所宛てに送る手配ができます。

英義

これなら、少し時間はかかるかもしれませんが、お客さんは実店舗に買いに来たのと同じように、買い物ができていますよね。

英義

このように、実店舗でもオンラインでも同じように買い物ができるのがオムニチャネルです。

おわかりかと思いますが、この戦略のキモとなるのは、データの一元化です

織田信長

信長

ふむ。

その“おむにちゃねる”とは、つまり、わしというデータがひとつで、清州城と安土城で共有されていたら、わしが清州城にいるときに安土城に客人がきても、まるで安土城にわしがいるかのように客をもてなすことができるということか

英義

信長さんは現実の人間なので、実現するのはムリでしょうけれど、考え方はそんな感じですかね。

そして、次に知っていただきたいのが『O2O』です

織田信長

信長

おーつーおー?

それは戦のかけ声かなにかか?

英義

いえ、違います。

これは『Online To Offline』の略で、集客に関する戦略です。

どなたかがオンラインクーポンの話をもってきたということでしたけど、まさにそれが一番わかりやすい例です

英義

お客さんのスマホに、商品購入時に使えるクーポンを“オンライン”で送って、“オフライン”で実店舗への来店を促すという取り組みです。

オンラインでの施策によって、実店舗だけではなかなか展開できない販促が実現できます

織田信長

信長

なるほど、道で配っている割引券がスマホに送られてくるということか

英義

クーポンはあくまで一例ですけれどね

 

 

オンラインとオフラインを融合する『OMO』

英義

さて、話はここでおしまいではありません。

最後にぜひとも学んでいただきたいのが、これから主流になると言われている『OMO』です

織田信長

信長

これから主流になる、つまり最新鋭の戦略というわけか。

流行に敏感なわしにこそふさわしい戦略じゃの

英義

はい、このOMOは、『Online Merges with Offline』の略です。

『オンラインがオフラインを統合する』といった意味合いですね

英義

今まで話した戦略が『商品をどこで買えるようにするか』という考え方だったのに対して、OMOは、『どのように商品を購入するのか』という一連の流れ、つまり顧客体験の観点から考えるとわかりやすいと思います

織田信長

信長

一連の流れというと『信長のバナナジュース飲みたーい』というJKが『信長のバナナジュースなう』にいきつくまでの流れということか?

英義

表現はともかく、そんな理解で大丈夫です。

OMOについては、より実態に近いと思うので、お客さんがバナナジュースを買う場合を例にして説明しますね

英義

まず、職場や学校でバナナジュースを飲みたいと思ったお客さんが『信長のバナナジュース』のサイトにアクセスします。

そしてほしい商品を選択して、スマホで決済まですませます。

その場で商品の購入は済んでいるので、あとは自分が指定した時間に店舗に取りに行くだけです。

英義

どうですか?

お客さんは店の外にいるのに、まるで店にいるかのように買い物ができていますよね

 

織田信長

信長

……サルよ、それは普通の電話注文と何が違うのじゃ?

わしには、どこがすごいのかよくわからんぞ

英義

そうですね、これだけだとちょっとわかりにくいかもしれませんが、本質的には、OMOは『オンライン、オフラインを問わず収集した顧客データを一元的に管理して、シームレスに顧客体験の向上に活かす』ということなんです

織田信長

信長

何を言うておるのだ?

わしを煙に巻こうとしておらんか?

英義

とんでもない!

ではひとつ、中国の盒馬鲜生(ファーマーションシェン)というスーパーマーケットの例をお話しましょう。

英義

ここでは、商品に二次元バーコードがついていて、それをスマホで読み込むと産地情報や価格がわかります。

それはまあ、別に珍しいことではないんですが、その商品が大きかったり重かったりして、持って帰るのが大変なときには、そのままオンラインショップのカートに商品を入れることができるんです。

英義

店内で配送を頼むわけではないので、買い物中も持って歩く必要がありません。

つまり、実店舗で目の前で商品を選びながら、オンラインショッピングをしているわけですね。

もちろん、すぐに必要なものは、普通にお店で精算して持ち帰れます

英義

また、店に来なくても、家でほしいものを注文すれば、30分以内に届けてもらうことも可能です。

これが、オンライン、オフラインが融合するということの一例です

 

織田信長

信長

なるほど。

わしの店の場合なら、ジュースを飲みに来たJKが、ついでにその場でバナナや焼き菓子をオンラインで買って家に送ったりするといったところか

英義

そうですね。

あと友だちと集まるときに、店で飲み物やお菓子を選んで、注文はオンラインショップですれば、たくさんの荷物を持ち帰らなくても、家に着いたころにちょうど商品が届いている、なんていうこともできますし、実店舗でよく購入する商品をオンラインでおススメするということも可能ですね

英義

これも、オンラインとオフラインのデータが統合されているからなせる技です

織田信長

信長

なるほど!

つまりいつでもどこでも、商品を簡単に買えるようにすることで、JKたちに『気がついたら今日も信長バナナジュース買っちゃってた~♪』となるような体験をさせる

それが“おーえむおー”なのじゃな!

英義

そうです!

別にJKでなくてもいいんですが、さすがは信長さん!

英義

ちなみに、まさにOMO的な買い物を体験できる実店舗もあります。

信長さんも、実際にそういったお店に行ってみて、OMOでどんなことができるのか、体験してみるといいですよ 

織田信長

信長

うむ!

話を聞いているうちに、信長バナナジュースで天下を取る方策が見えてきたぞ!

サルよ、これからもよろしく頼むぞ! 

 

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