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ふとギフトを贈りたくなるのはいつ?キーワードは「共感」「ネタ」「感謝」 【生活者の声を読み解くシリーズ】


永田桜子
こんにちは、CCC MKホールディングスの永田です。

特別な人に会う時や、感謝の気持ちを伝えたい時以外にも、ふと贈り物をしたくなることはないでしょうか?
現在はオンラインでギフトを贈る手段も増え、遠方への贈り物をするハードルも下がっています。

今回は、テレビのメタデータや生活者の生の声からふとギフトを送りたくなるシーンをまとめました。

今回行った調査の結果レポートは下記より無料でダウンロードいただけます!
ぜひお気軽にご覧ください。

■こんな方におすすめ
・ギフトサービスのマーケティングご担当者さま
・消費者へのリサーチ結果や生の声をマーケティングに活かしたい方
・生活者の実際の声から商品、サービス開発を行いたい方

ギフトの資料をダウンロードする

目次[非表示]

  1. 1.TV番組のメタデータから読み取るギフト市場の変化
    1. 1.1.ギフト関連ワードは季節に合わせて変化する
    2. 1.2.コロナ禍によりオンラインギフトの需要が高まった
    3. 1.3.特別な日におけるギフトニーズ
  2. 2.ギフトを送りたくなる気持ちやシーン
    1. 2.1.210名の生の声をワードクラウドで分析
    2. 2.2.キーワードは「ネタ」「感謝」「共有」?
    3. 2.3.「ネタ」「感謝」「共有」で何か贈りたいと思うアイデアに注目
      1. 2.3.1.「話のきっかけのネタ」としてギフトを贈る
      2. 2.3.2.「日頃の感謝」として贈る
      3. 2.3.3.想いを「共有」するために贈る
  3. 3.変化するギフトシーンにあわせたマーケティングが必要

TV番組のメタデータから読み取るギフト市場の変化

初めに、CCCマーケティング総合研究所 の取組みについてご紹介します。

CCCマーケティング総合研究所では、約1.3億人(有効ID数)の購買・行動データや生活者の生の声を用いて、“生活者に一番近い存在のシンクタンク”としての取り組みを行っています。

今回はギフトについて生活者インサイトを読み解きました。
まずは、テレビ番組に出現するワードからギフト市場の変化を見ていきます。

ギフト関連ワードは季節に合わせて変化する

近年は、LINEギフトなど気軽に贈り物ができるツールが人気のほか、お歳暮商戦でもオンライン販売が伸長しています。また、コロナ禍によるライフスタイルの変化により、お歳暮・おせちなど従来の生活催事や旅行のお土産のギフト市場が変化していると感じますが、実際はどうなのでしょうか?

上図は、TV番組のメタデータにおいて該当ワードの出現率の推移を分析したものです。

「ギフト」「歳暮」「贈り物」「お土産」「年賀」など、季節によって異なるギフトシーンに合わせ、特集が組まれていることが読み取れます。
なかでも、1年を通してクリスマスや年末年始はギフト関連のワードがTVでも多く扱われていました。

コロナ禍によりオンラインギフトの需要が高まった

下図は、TV番組メタデータで、該当ワードの出現率にどのような違いがあったのか2020年と2021年の11月時点を比較したものです。

こちらはあくまでメタデータでのテキスト出現数のため、市場伸長度を示すものではありませんが、「ギフト」「贈り物」「お土産」などのワードは軒並み出現数が伸びています。

特に「贈り物」については、2020年11月と比較して2021年11月は75%も伸びている一方で、「歳暮」は41%も減りました。

伸長しているワードに関するTV番組の例
●LINEギフトキャンペーン・新CM開始(11/30 報道発表)
●体験カタログサービスの台頭(11/17 ヒルナンデス抜粋)
●お歳暮商戦で松屋がオンライン販売強化でEC売上2倍(11/25 ワールドビジネスサテライト)

番組のタイトルからもわかるように、ちょっとしたお礼や、ネタとして手軽に実施できるオンラインギフトサービスに注目が集まっています。また、モノではなく体験型のギフトや、お歳暮についても選択肢が自由に選べて手軽に買い物できるオンライン販売など、新たな消費に向けた動きもあるようです。

TVデータから、現時点のギフト市場は、お歳暮、父の日・母の日など生活催事を中心としていることから、季節によって需要が異なることがわかりました。

特別な日におけるギフトニーズ

これらは「特別な日のギフトニーズ」ですが、日常の中で発生するようなちょっとしたギフトニーズはどのようなときに生まれるのでしょうか?

季節を問わず贈りたくなるニーズがあれば、これまでスポット需要であったギフト市場も大きく変化するはずです。

そこで、ここからは日常のギフトニーズについて生活者の声から読み解きます。特別な日ではないものの、ふと何かあげたくなるような気持ち・シーンがあるか、日常のギフトニーズが発生するトリガーはなにか考察します。

ギフトを送りたくなる気持ちやシーン

生活者の本音からインサイトを引き出す共創プラットフォーム「Blabo!」を活用し、「ふとした時に何か贈りたくなる気持ち、シーン」について聞いてみました。
最近のTV番組の特集からもECやオンラインギフトサービスを活用した新しいギフトニーズがあることが見えてきました。

では、そもそもギフトを贈りたくなるトリガーは何なのでしょうか?
生活者のインサイトを把握することで、ギフト企画や商品を考えるヒントになるかもしれません。
※「Blabo!(ブラボ)」は、オンラインの企画会議のように企業と生活者が自由に意見交換できる場です。企業が知りたい内容をお題として掲載することにより、生活者のリアルな声を聴くことができます。

そんなBlabo!で、今回、以下をお題としてシェアしてもらいました。

『「これあの人にあげたいな。特別な日じゃないけど、ふと何かを贈りたくなる気持ちとそんなシーンって? 』

210名の生の声をワードクラウドで分析

上記お題で投稿を募ったところ、210名から声が届きました。いただいたアイデアの大枠を把握するために、生の声をワードクラウド※化 します。
※ワードクラウド:文章やテキストから単語の出現頻度にあわせて文字の色や大きさを変えて視覚化したグラフ

下図は、単語の出現回数が多い特徴的なワードを抽出したものです。

なお、どの文書にもよく現れる単語についてはスコアが低くなるように設定しています。

続いて、出現頻度が高いワードが下図です。

ここからは「相手の喜ぶ顔を思いながら、相手の好きなモノ、自分の美味しいと感じるモノを見つけて贈る」様子が見て取れ、ギフトを贈る際の定番ワードの頻度が高いことがわかりました。

特徴的なワードについても同様で「気持ち」「出会い」「共有」というワードが出現しているところを合わせて考えると、今感じた気持ち・モノとの出会いを共有したい気持ちが読み取れます。

キーワードは「ネタ」「感謝」「共有」?

Blabo(いいね)の数が平均以上だったアイデアを気持ち・シーンを分類すると、以下の4種類に分けられました。

A)ネタ・・話のきっかけのため
B)感謝・・日頃の感謝
C)共有・・自分が体験したモノの良さを共有したい
D)贈る・・他者に向けてモノを贈る定番的なシーン

これを可視化したものが下図です。

B・C・Dは贈りたくなる定番の気持ちである一方、Aはコミュニケーションのきっかけとしてのギフトです。もちろん、お土産やお歳暮を贈る際にも同様の気持ちや思惑があると思います。
ですが、生の声を見ていると、より日常での「想い」をギフトとしていることがわかりました。

特別な日以外のギフトは、日常のコミュニケーションの延長線上にあることから、A「ネタ(話のきっかけのため)」の気持ち・シーンへの共感が多いのではないでしょうか。

以下ではより詳しく分析していきます。

「ネタ」「感謝」「共有」で何か贈りたいと思うアイデアに注目

具体的に「ネタ」「感謝」「共有」のためにどのようなギフトを送るのか、実際の声をご紹介します。

「話のきっかけのネタ」としてギフトを贈る

話のきっかけとしてギフトを送った、実際のエピソードを紹介します。

①『話のネタになれば?恒例の両親にちょっと茶菓子を。』
私は在東京ですが、両親が岐阜にいます。コロナで1年半ほど会えず、その間はちょこちょこ電話をしていたのですが、すぐにネタ切れ。話のネタになればと近所の無名な和菓子屋の饅頭や魚屋の佃煮など、二千円もしない程のものをちょこちょこ送ってあげました。そのうち私も探すのが楽しくなり、ずいぶん近所のお店を開拓しましたよ。両親も玄関のピンポンが楽しみになり、宅配業者の方とも仲良くなったそうです(笑)。

②『久しぶりに連絡をする口実?』
卒業と同時に地元に帰ってしまった友達と「絶対連絡するね」と言ってから微妙に4か月経ってしまった。なんだか切り出しにくくて、ちょっと何か好きそうなものでも送ってあげたらお礼の連絡くるかなー、なんて下心もあり某コーヒーチェーンの東京限定タンブラーを贈った。そうしたらすぐに連絡来たwめっちゃ喜んでたし、無事にLineも再開した。(女性・20代)

③『ラインでコンビニのギフト』
最近、食べたローソンのスイーツが思いのほか美味しくて、それを友達を共有したくてラインギフトを送りました。友達も喜んでくれて、話題も共有出来て、一石二鳥でした。

④『元気かな?』
年に1,2回会ってたけど会ってない友人に、元気かな?と手紙にスープを添えて送ろうと思ってます。(女性・40代)

⑤『話のきっかけ』
前後で、ちょっとしたおしゃれなものやおいしいものをネットで買えるようになったので、コロナ禍で頻繁に会えなくなってしまった友人に、「お!」と思ったおしゃれな紅茶やクッキーやハンカチなどを贈ります。用はないけど元気かな?っていう時にLineだけだとなんか一辺倒なやりとりで終わっちゃうので、何か話のきっかけが欲しくて送っちゃいます。(女性・30代)

モノ起点ではなく、ヒトとの関わりを起点にした「日常のギフト」の重要な要素だと推測できます。   

「日頃の感謝」として贈る

日頃の感謝を伝える方法として、ギフトを選択している方もいます。

①『ビルの管理人さんやお掃除してくださる方』
ビルの管理人さんや掃除をしてくれる人達。いつも大変な仕事をしてくださっているそんな方々に、少し多めに買ってきたお菓子をもらっていただいています。家の修理をしてくださる職人さんにもおやつを出します。あげたいというよりは、感謝の気持ちを貰って頂けたらという思いです。(女性・50代)

②『きゅん。』
何気ない、子供達からの優しさにきゅんとして、何かあげたくなってしまいます。いつもは、手伝いなんてしてくれない小6の長女。 私が忙しく洗濯物をたたまず、山になったまま放置し、寝てしまったら、朝起きたら綺麗にたたまれてて・・・その優しさに嬉しくもなり、喜びそうな文房具を購入しにいきました。(女性・30代)

③『お世話になっている方へのお礼』
普段仕事でとても良くしてくださっている先輩がいます。親切丁寧な指導をしてくださったり、困った時にさりげなく気にかけてくれたり、ちょっとしたお菓子を分けてくださったり、普段からとてもお世話になっています。仕事に励んでその方に恩返しするだけでなく、お菓子などのようなもので、ちゃんとした形でお礼したいなと常々考えているので、その方が好きそうなものやお礼に良さそうなものを見つけた時は買っています。(女性・20代)

④『感謝の気持ちで』
以前の職場で、よく同じ課の女性社員さんからお菓子のお裾分けをいただいていました。日頃からいただいているので、コンビニに寄った際にフッと思い付き、お得サイズのお菓子を買って、お返しと気に掛けてくださる気持ちにお礼の心で、お渡していました。改めてこのお題を考えるにあたり、そういう日常の小さな感謝が適していると思い、投稿します。

⑤    『ゴミを回収してくれる方に』
毎年今年初めのゴミの回収の日にゴミ袋に「いつもありがとうございます今年もよろしくお願いします。」の張り紙をしてゴミを出しています。ささやかな感謝の気持ちを込めています。(女性・60代)

行事だけでなく日常のふとした瞬間でも、贈り物はやはり「感謝の気持ち」を形にする方法として王道といえます。チップ文化がない日本でも日頃身近でサポートしてくれるさまざまなヒトへの感謝を伝えている方の声も寄せられました。

想いを「共有」するために贈る

最後に、美味しいモノ、好きなモノ、求めていたモノと出会えた時に感じる嬉しい気持ちを共有するためのギフトに対するアイデアです。

①『感動を共有したい』
美味しいものに出会った時、自分だけで味わうより誰かとそのおいしさを共有したいですね。共有できたら、それが一つの話題になるし後からでも思い出になります。ふと入ったお店で食べたものや旅先で美味しいものに出会った時に、お土産で買って行ったりそこから頭に浮かんだ人へ送ったり。おくる相手は同じように美味しいものが大好きでそれについて語り合える人。 お酒ならあの人、スイーツならあの人、などなど。 (男性・50代)

②『素敵な商品に出会った時』
自分が求めていた商品に出会った時です。その商品の良さを共有したくなるので日頃お世話になっている方に送ります。今の時期ですと、めぐリズムやあずきの力をプレゼントします。使っていただいて、日頃の疲れをとっていただき、商品の良さを実感していただけた時はとても嬉しくなります。(女性・40代)

③『共有したい気持ちが高まった時』
以前からお互いに話題に上がっていたり、日常の中でネットなど情報から、これあの人も気になってるって言ったなと思い出すと、その気持ちを共有できたらいいなと思い、贈りたくなります。きっと相手も興味あるはずと確信が持てる感覚の時は(事前にお互いに盛り上がるなど)、何も言わずに送る事があります。タイミングは相手の門出になる時の方が多く、友達が卒婚した時に、ヘアアクセサリーを贈り喜んでもらえました。(女性・50代)

④『美味しい料理』
料理をしていて、たまたまいつもより美味しく出来たときに、家族に食べてもらいたいと考えますね。(男性30代)

⑤『地元の旬をおすそ分け』
田舎なので、季節ごとに色とりどりの野菜や果物が出回ります。地元の農園や直売所で採れたてのぶどうやいちご、夏野菜などを見ると、遠くの友人と分かち合いたくてたくさん買ってしまいます。(女性・60代)

うれしい気持ちを共有したくて知り合い・友人・家族に贈るのも、贈りたいと思う動機の定番といえます。日々の食卓を彩る料理も見方を変えれば「ギフト」というのは目から鱗です。

変化するギフトシーンにあわせたマーケティングが必要

今回、データを読み解くことにより、日常のギフトに関する生活者インサイトとして以下のようなキーワードが見えてきました。

●デジタルツールによってより日常的な贈るシーンが台頭
●話のネタ・日頃の感謝・自分の体験の共感、が日常の贈り物のトリガー
●お土産と異なり「目新しさ・パッケージ」よりも、同僚・友人・家族とのコミュニケーションがポイント

従来、ギフト市場は百貨店で季節に応じたイベントやお礼、お祝い向け商品を購入するのが主流でしたが、近年はオンライン販売の発達もあり、あげたいタイミングで、あげたいものを贈れます。

そんな日常のギフトは、お土産などのこれまでの商品とはニーズに違いがあることがわかりました。会話のネタを筆頭に、商品そのものではなく、それをフックにしたコミュニケーションの豊かさそのものにニーズがあるのかもしれません。

今回の調査に関する詳細な内容については、下記資料をご覧ください。

■こんな方におすすめ
・ギフトサービスのマーケティングご担当者さま
・消費者へのリサーチ結果や生の声をマーケティングに活かしたい方
・生活者の実際の声から商品、サービス開発を行いたい方

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CCCMKホールディングスでは、約1.3億人(有効ID数)のT会員の購買・行動データをもとにマーケティングのお手伝いをさせていただいています。生活者の声をマーケティングにつなげていきたいと考えているみなさまも、ぜひご相談ください。

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※CCCマーケティングでは、セキュリティ上厳重に管理された環境のもと、個人を特定できない状態でマーケティング分析を行っております。
※本コラムに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
※ユーザーローカル テキストマイニングツール(https://textmining.userlocal.jp/)による分析

永田桜子
永田桜子|マーケティングユニット
「データ」と「視点」を活かして みなさまの
「気づき」につながる発信を心掛けてまいります!

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