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気温×購買データで夏や冬など季節ごとに売れる商品を分析!

永田桜子

こんにちは、CCCMKホールディングスの永田です。

企業がマーケティングをしていくうえで、どの季節にどの商品が売れるかを知っておくことは非常に重要ですよね。

一般的に、気温は購買行動に大きな影響を与えると考えられています。
そこで、今回は気温データと実際の購買データを掛け合わせて、どのようなカテゴリやブランドが気温の影響を受けやすいのか、または受けにくいのかを読み解きます。

今回読み解きに使用したデータは下記よりダウンロードいただけます。Tableauダッシュボードで各カテゴリを見てみると、それぞれが暑い時期、寒い時期のどちらで選ばれているのか、どういった特徴的な動きをしているのかなどが見えてきます。

メーカーのマーケティングご担当者の方はぜひご覧ください。



目次[非表示]

  1. 1.今回使用するデータ概要
    1. 1.1.今回の分析でわかること
  2. 2.夏(暑い時期)に売れる商品カテゴリ
    1. 2.1.アイス
    2. 2.2.炭酸飲料
    3. 2.3.ビール類
  3. 3.冬(寒い時期)に売れる商品カテゴリ
    1. 3.1. 紅茶
    2. 3.2.スナック
    3. 3.3.シャンプー
  4. 4.季節や気温による購買への影響はカテゴリ・ブランドによって異なる

今回使用するデータ概要

今回使用するデータの抽出定義は、以下です。

期間:2019年12月1日~2021年11月30日
業態:多種多様なTポイント提携先の購買
対象者:一都三県・20~89歳の男女

今回の分析でわかること

カテゴリ、ブランドごとに、暑い時と寒い時のどちらのタイミングで売れるのか、特に特徴が強いものに注目して解説していきます。

以下のグラフの見方について、横軸は気温、縦軸はシェアです。右上がりであれば暑い時、左上がりであれば寒い時のほうが売れ、水平であれば気温に左右されにくいというように、線の傾斜角度で傾向がわかります。

なお、冬時期・夏時期にしか店頭に並ばないなどの事情はさまざまありますので、あくまでも今回のデータから見えたこととしてご理解ください。

夏(暑い時期)に売れる商品カテゴリ

まず、暑い時期に売れている商品のカテゴリについてです。商品カテゴリの中でも特に暑い時期に売れているアイス・炭酸飲料・ビール類はどのような特徴があるのか見てみましょう。

アイス

カテゴリ全体の傾向を見ると、「ハーゲンダッツ」などのプレミアムアイスを除いたノベルティアイスと呼ばれるアイスはやはり、暑くなると売れる傾向にありました。

ですが、ブランド別で見ていくと、ロッテの「雪見だいふく」や「ガーナ」のグラフは右下がりになっており、暑い時期よりも寒い時期のほうが売れる、全体とは逆の傾向がありました。平均最高気温が10度前後の時期にもよく売れています。

「雪見だいふく」は秋冬においしく食べるアイスをコンセプトに開発された商品で、「冬に食べるアイス」として浸透しています。「ガーナ」は濃密なチョコレートが特徴的で、冬期に新商品も出していることなど、寒い時期に売れる要因がある商品ではないでしょうか。

また、特に暑いと売れる傾向にあるのが、森永製菓「アイスボックス」やフタバ「サクレ」などの氷菓です。さっぱりとした氷菓は25度以上の特に暑い時期に食べたくなるようです。

炭酸飲料

暑い日にグイっと飲みたい炭酸飲料も、アイス同様にカテゴリ全体で見ると暑くなると売れる傾向にあります。その中でも注目したいのが、CCJC(日本コカ・コーラ)「コカコーラ」と、サントリー「ペプシ」では動きが異なる点です。

「コカコーラ」のグラフは比較的水平に近いことから季節を問わずほぼ年中変わらず売れていることがわかります。

一方で「ペプシ」は、気温が25度を超えたあたりでぐっとシェアを伸ばす形になっており、暑い時期に特に選ばれる傾向がありました。同じコーラ飲料であってもブランドによって動きが異なります。

その他のブランドに着目すると、アサヒ「カルピスソーダ」のグラフは右肩下がりで、寒い時期に売れる傾向が見て取れます。

サントリー「C.C.レモン」なども、25度を超えたあたりからシェアが伸びていて暑い時期の方に売れる傾向があったことから、炭酸飲料の中で「カルピスソーダ」だけが全体と逆の傾向にあります。

「カルピスソーダ」は冬時期にプレミアム系の商品を販売 しており、そのマーケティング活動の結果がグラフにも反映されているのかもしれません。

ビール類

暑い日に飲みたいものといえば、「まずは、ビール!」を連想する方も多いのではないでしょうか。ですが、カテゴリ全体の傾向を見てみると、グラフはほぼ水平で、季節限定のブランドを除けば極端な傾向はなく、通年で飲まれているようです。

これは、ブランドごとにアサヒ「スーパードライ」や、キリン「一番搾り」などを見ても同様の傾向が見られます。日常的に晩酌用のビールを購入する方が多いのかもしれません。

原料や醸造方法にこだわって作られたプレミアムビールカテゴリを比較してみると、サントリー「プレミアムモルツ」は暑い時期に売れていますが、サッポロ「エビス」は寒い時期のほうが売れる傾向にあることがわかりました。

どちらの商品も冬限定商品やお歳暮セットなどを展開しており、売り出し方は似ているのですが、売れ方には違いがあります。

冬(寒い時期)に売れる商品カテゴリ

今度は反対に、寒い時期に売れている商品のカテゴリについてです。紅茶やスナック、シャンプーカテゴリを見ていきます。

 紅茶

紅茶カテゴリは全体として、グラフは右肩下がりで、寒い時の方が売れる傾向が見られました。冬に温かい紅茶を選んでいる方も多いのではないでしょうか。特に気温10度前後の時期はシェアが伸びています

ブランドごとにCCJC(日本コカ・コーラ)「紅茶花伝」とキリン「午後の紅茶」を比較してみると、グラフの傾きが強いことからCCJC(日本コカ・コーラ)「紅茶花伝」のほうが特に寒い時に売れる傾向が強いことがわかりました。

「午後の紅茶」のほうが、夏にぴったりな無糖を先に出していることや、食事と冷たい紅茶を合わせるという訴求を行っていたことが関係しているのかもしれません。ミルクティーやフルーツフレーバーがメインの「紅茶花伝」との違いが表れています。

カテゴリ全体の傾向とは反対に、サントリー「ボス」は暑い時期に売れる傾向が強いです。すっきりとした香りと味わいを押し出しているブランドであるため、暑い時期に選ばれているのかもしれません。

サントリー・森永「リプトン」については一年を通してほぼ水平で、通年変化が少ないです。

寒い時期に特に飲みたくなる「白湯」がペットボトルで発売され、どのような人が購買しているのかも分析していますのでぜひご覧ください。

関連記事:ペットボトル「白湯」、約9℃の気温ダウンで売上点数1.7倍伸長!

スナック

スナックは季節や気温に関係なく通年売れそうなカテゴリではあるものの、気温データと購買データを掛け合わせると、実は寒い時のほうが売れる傾向があることがわかりました。

ブランドごとに見てみると、カルビーの「ポテトチップス」や「ピザポテト」は寒い時のほうが売れる傾向がより強くみられましたが、「堅あげポテト」のグラフはほぼ水平で、年間を通してそれほど大きな変化なく売れていることがわかります。

カテゴリ全体の傾向とは反対に、スナック菓子の中でも暑い時期に売れているのが、唐辛子の辛味が特徴的な湖池屋の「カラムーチョ」です。25度を超えたあたりでシェアの伸びが見られました。

辛いスナックが暑い時期に売れるという傾向はあまり見られなかったため、積極的に行っている夏のプロモーションが影響しているのかもしれません。

ポテトチップスの人気ランキングは、こちらの記事もご覧ください。

関連記事:カルビー「しあわせバタ~」を買うのは23~26歳の女性だった!スナックの定番ポテトチップスの1歳刻みランキングの結果とは?

シャンプー

シャンプーについても一年を通して需要があるものですが、データを見てみると寒いときのほうが売れる傾向が強いことがわかりました。中でも、花王「エッセンシャル」や、コーセー「ジュレーム」は寒い時のほうが売れる傾向が強く見られました。

一方、カテゴリ全体とは反対に暑い時のほうが売れる傾向が見られたのが、クール系のシャンプーである資生堂「シーブリーズ」や花王「サクセス」です。汗をかく夏場にさっぱりとできることから、需要が上がるのかもしれません。特に資生堂「シーブリーズ」は25度を超えてからシェアが伸びています

ブランドを比較してみると、ダメージケアなどがメインのものは冬場の乾燥ダメージから髪を守るため需要が上がり、皮脂汚れを落とす、すっきりさせる、商品がメインのブランドは暑い時期に売れる傾向があるようです。

季節や気温による購買への影響はカテゴリ・ブランドによって異なる

アイスやビールなど、暑い時期に売れる商品カテゴリは予想できましたが、その中でもブランドによって違いがあることがわかりました。

また、寒い時期に売れる商品カテゴリについては、一見すると気温とは関係がないように思えるスナックが売れているなどわかったことから、気温データと購買データの掛け合わせで新たなマーケティングのヒントが見つかりました。

なお、今回の記事の元になっているデータはダウンロードが可能なので、さらに詳細に読み解きたい方は、ダウンロードしてご確認ください。各カテゴリにおける細かい変化などもご確認いただけます。

今回のような詳細なデータの読み解きができるのは、CCCMKホールディングスが約7,000万人のT会員の購買・行動データをシングルIDで管理しているからです。データをもとにした分析に取り組んで行こうと考えている企業のみなさまは、ぜひご相談ください。



※CCCMKホールディングスでは、セキュリティ上厳重に管理された環境のもと、個人を特定できない状態でマーケティング分析を行っております。
※本コラムに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。


永田桜子

永田桜子|マーケティングユニット
「データ」と「視点」を活かして みなさまの
「気づき」につながる発信を心掛けてまいります!


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