少女がMacを選んだ理由は「忠誠心」? 顧客ロイヤルティの真の威力を知る

「マーケティングのヒント」は、さまざまな専門家や記者のみなさまの見解をご紹介するコラムです。

みなさんは買い物をするとき、どのような基準でお店や商品を選ぶでしょうか。
近くにあるお店だから、少し離れているけれどポイントサービスがあるから、商品が安いから、なんとなくいつも買っているものだから、そのブランドが好きだから…
さまざまな理由があるかと思います。

近年、マーケティングの世界で「顧客ロイヤルティ」を重要視する企業が増えています。
顧客ロイヤルティとは、顧客が商品やサービスに抱く「愛着」や「忠誠心」を指すもので、消費行動に大きな影響を与えます。

では顧客ロイヤルティとは具体的にどのようなものなのでしょうか。そしてなぜ、重要視されるのでしょうか。

【目次】
▼商品やサービスに顧客が「忠誠心を持つ」とは?
▼顧客を動かす、2つの「ロイヤルティ」
▼顧客ロイヤルティが企業にもたらすもの
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商品やサービスに顧客が「忠誠心を持つ」とは?

「ロイヤルティ」は英語の「Loyalty」からきています。顧客が商品やサービスに「忠誠心を持つ」というのは少し妙な感じがしますが、ここでは顧客が商品やサービスに愛着や信頼、親しみを持つ、といった意味合いで使われています。

最も分かりやすいのは最近若者の間で流行している「推し活」でしょう。

お気に入りや贔屓のアーティストやアスリート、つまり自分が「推す」対象について愛着を持ち、コンサートや試合のチケットやグッズを購入する「活動」のことです。その様子はSNS上に多く投稿されています。
熱心な「推し活」の実施者は、「推し」を追いかけて地方にまで出かけていきます。一昔前で言う「追っかけ」といったところです。
 

顧客ロイヤルティが重視される背景

「推し活」のように長距離移動をしたり多額の金額を使ったりするまでに至らなくても、顧客ロイヤルティ(顧客ロイヤリティとも呼ばれます)が重要視されるのには様々な背景があります。

ひとつに、現代ではモノが溢れていると言われているように、似たような商品やサービスも多く並んでいます。つまり、差別化が難しくなっているということです。
詳細は後述しますが、このような市場環境にあって確実にシェアを広げていくには、「1度の購入体験」では不十分といえます。

また、「1:5の法則」と「5:25の法則」にも注目する必要があります。
1:5の法則とは、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストに比べて5倍かかるというものです。
5:25の法則とは、顧客離れを5%改善すれば利益が25%以上改善するというものです。

この数字を実現するために、既存顧客から「忠誠心」を持たれる存在になることが重要といえます。

 

顧客を動かす、2つの「ロイヤルティ」

さて、ロイヤルティには2種類あるというのが定説です。
ひとつは「行動ロイヤルティ」、もうひとつは「心理ロイヤルティ」です。以下のようなものです。

ロイヤルカスタマーには、そうすべきと考える人(行動または理性の側面)と、そのブランドや商品が好きだからという人(心理または感情の側面)がいるのである。ベンダーやブランドとしては、後者の方がずっと好ましい。

出典)ニック・メータ他『カスタマーサクセス』 英治出版 p25

その理由について考えてみましょう。
 

行動ロイヤルティ

例えばあなたが、近所にコンビニが1件しかない、という場所に住んでいるとします。そこで深夜にリモコンの電池が切れ、すぐに欲しいという時はそのコンビニに行くことでしょう。
これは、他に選択肢がないという理由からです。

また、メーカーについて好みがあったとしても、その店で取り扱っているメーカーのものを購入することになります。これもまた、他に選択肢がないという理由からです。

一般の小売店にも似たようなことが言えます。近年は通信販売でものを買うことが増えました。すると、同じものを売っていても、顧客は、移動しなくても良いという利便性から、通販で買い物をすることに親しみを覚えるようになります。

結果、その顧客にとっては、わざわざ店に出かけることへの「ロイヤルティ」は、相対的に下がってしまいます

また、新しい店が自宅のより近くに立てば、そちらに人が流れてしまうということもあります。これもまた、既存店に対する顧客のロイヤルティが相対的に下がってしまった結果です。
 

心理ロイヤルティ

一方で心理ロイヤルティは、こうした外部環境に左右されにくい特徴を持つと言えます。

ニック・メータ氏などによる書籍『カスタマーサクセス』には、このようなエピソードが紹介されています。

娘が高校を卒業したとき、ノートパソコンが必要になった。デルの方が機能は優れていて値段も安かったにもかかわらず、娘はMacを買うと言って聞かなかった。Macを選ぶ根拠となる情報として、スピードも機能も品質も一切挙げられなかったが、気持ちだけが決まっていたのだ。今も理由はわからない(娘はMacを手に入れたが)。
(中略)
しかし、この現象を何と呼べばいいかはわかる。心理ロイヤルティだ。いや、娘の場合は、感情ロイヤルティと呼んだ方が適切かもしれない。


出典)ニック・メータ他『カスタマーサクセス』 英治出版 p26-27

スティーブ・ジョブズはこの若い女性の心理ロイヤルティをわしづかみにした、とも言えるでしょう。

Apple製品を使っている人は、他の家電製品でもAppleを使っていることが多い傾向にあると感じることはないでしょうか。
外部環境に左右されやすい行動ロイヤルティよりも、心理ロイヤルティはひとたび構築すれば大きな効力を持つという一例です。

 

顧客ロイヤルティが企業にもたらすもの

顧客ロイヤルティは、企業経営に「現代ならでは」の利益ももたらします。

商品が売れるのか売れないのか、さまざまな施策が当たるか外れるかは、実際に市場に出してみないとわからないというリスクがあります。
また、今般の新型コロナウイルスは否応なしに私たちに、新しい秩序の構築を求め続けています。
これは、予想が難しいマーケットに、さらに不安定要素が加わったことを意味しているといえるでしょう。

ここで、興味深い調査結果を紹介します。消費スタイルに関するものです(図1)。

図1 消費者の意識の変化

出典)「2019年版中小企業白書」中小企業庁


2000年と2018年の意識を比較すると、「安ければ良い」という「安さ納得消費」意識は下がり、逆にこだわり・特別感を求める「プレミアム消費」意識が向上しているのです。

中小企業庁はこの傾向を、次のように分析しています。

「安ければよい(安さ納得消費)」という価値観の減退は、中小企業にとって追い風になる可能性がある。一般に価格面の競争は、企業の規模で優劣がつきやすい領域であり、大企業の優位性が発揮されると考えられる。反対に、消費者の求める「利便性(利便性消費)」や「こだわり・特別感(プレミアム消費)」は消費者との距離が近い中小企業に優位性がある可能性がある。

出典)「2019年版中小企業白書」中小企業庁

「売り切り」「消費して終わり」というだけでない顧客との関係性を築く必要があるということです。その後の顧客との関係を維持し、親しみや信頼といった顧客ロイヤルティを高める必要性はここにもあるのです。

超少子高齢化による市場の縮小や、VUCAと呼ばれる不安定要素の多い現代においては顧客ロイヤルティの獲得は欠かせないものと言えるでしょう。

不確実性の中からできるだけ「確度の高い成功」を手繰り寄せることこそが経営でもあります。
そのための手段として、「顧客ロイヤルティ」という考え方に改めて注目し、自社ならではの具体的な投資を検討してみてはいかがでしょうか。

 










清水 沙矢香
2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に報道記者として勤務。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として各種市場・産業など幅広く取材、その後フリー。
取材経験や各種統計の分析を元に関連メディアに寄稿。

 

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