YouTube広告、どうすれば見てもらえる?「スキップできる世界の5秒チャレンジ」とは

YouTube広告、どうすれば見てもらえる?「スキップできる世界の5秒チャレンジ」とは

「マーケティングのヒント」は、さまざまな専門家や記者のみなさまの見解をご紹介するコラムです。

YouTubeのTrue Viewインストリーム広告は、「スキップできる世界の5秒チャレンジ」と呼ばれています。
YouTubeのユーザーなら日常的に目にするあの広告です。

5秒でスキップできる広告の出現で、顧客にとって意味のあるコンテンツでなければスルーされるという、コンテンツ・マーケティングのシビアな側面が露わになりました。

Googleの調査で、視聴者がスキップしない動画の特性が明らかになっています。
それはどのようなものなのでしょうか。
マーケターはそこからどのような学びが得られるのでしょうか。

YouTubeのTrue Viewインストリーム広告をフックにコンテンツ・マーケティングについて考えてみましょう。

目次[非表示]

  1. 1.増加する動画広告
  2. 2.5秒後にスキップされない動画とは?
    1. 2.1.GoogleのTrue View「スキップ可能なインストリーム広告」とは
    2. 2.2.スキップされない動画とは
  3. 3.コンテンツ・マーケティングとカスタマージャーニー
    1. 3.1.コンテンツ・マーケティングのポイント
    2. 3.2.カスタマージャーニーのマッピング
    3. 3.3.カスタマージャーニーとコンテンツ・マーケティング
    4. 3.4.「スキップ可能な広告」から得られた学びとは
  4. 4.CCCマーケティングからのお知らせ

増加する動画広告

Googleの親会社であるAlphabet社が発表した2021年第2四半期決算によると、同社のYouTube広告収入は70.02億ドルで、広告収入全体504.44億ドルの約14%に当たり、前年同時期の183.7%に上っています。*2

では、日本ではどうでしょうか。
電通グループのデジタル広告領域関連4社の調査結果によると、2021年の日本全体の動画広告費は前年比132.8%の5,128億円と、初めて5,000億円を突破しました。*3
これはインターネット広告費全体の23.8%に当たります。

インターネット広告媒体費の広告種類別構成比

図1 インターネット広告媒体費の広告種類別構成比
引用)株式会社CARTA COMMUNICATIONS、株式会社D2C、株式会社電通、株式会社電通デジタル(2022)ニュースリリース 調査レポート「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(2022年3月9日)

このように、日本でも動画広告は増加しています。

5秒後にスキップされない動画とは?

Googleの動画広告は6種類ありますが、本稿ではこのうち「スキップ可能なインストリーム広告」に注目し、どのような広告はスキップされないのか考えてみます。

GoogleのTrue View「スキップ可能なインストリーム広告」とは

スキップ可能なインストリーム広告は、別の動画の前後、または途中に再生される動画広告です。再生開始から5秒経過すると、ユーザーは広告をスキップできるようになります。
料金は、CPV(Cost Per View:広告視聴1回あたりのコスト)単価制では、ユーザーが動画を30秒間(30秒未満の広告の場合は最後まで)視聴したか、30秒経つ前に動画を操作した場合に発生しますが、他にもいくつかの課金オプションがあります。

スキップ可能なインストリーム広告は、最初の5秒間で視聴者の関心を引くことができなければ、顧客はコンテンツの残りの部分を見ずに広告を閉じてしまいます。

では、スキップされない動画とはどのようなものでしょうか。

スキップされない動画とは

マーケティング学の権威であるフィリップ・コトラー博士は、「顧客は、そのコンテンツが魅力的で意味があると思わなければ、それを見ることに時間を使わない」と述べています。

YouTubeで最も視聴回数が多い動画や最も登録者数が多いチャネルは、ユーザーが作ったコンテンツであって、ブランデッドコンテンツ(企業のブランディングのために、顧客の共感を呼ぶように作られた動画)ではないという状況がそれを端的に物語っています。

では、視聴者が5秒後にもスキップしない動画とはどのようなものでしょうか。
Googleが2015年に行ったTrue View広告の調査によって、その特徴が明らかになりました。
それは以下のいずれかの要素を含んでいることでした。
 ● ストーリー
 ● 人間の顔
 ● 何らかのアニメーション

この調査によると、広告が始まってスキップできない最初の5秒の間にブランドのロゴが現れると、ブランドを想起する割合は高くなりますが、それと同時に、広告の視聴時間が短くなることも明らかになっています。

マーケターは、視聴者が観たいと思うコンテンツと自分が効果的だと思うコンテンツが必ずしも一致しないことを理解しなければならない―スキップ可能なインストリーム広告に対する視聴者の反応から、そのことを学ぶ必要があるとコトラ―博士は指摘しています。

では、マーケターは顧客に提供するコンテンツをどのように考えたらいいのでしょうか

コンテンツ・マーケティングとカスタマージャーニー

ここでは、「スキップ可能なインストリーム広告」も含めたコンテンツ・マーケティングのポイントをカスタマージャーニーとの関連でみていきます。

コンテンツ・マーケティングのポイント

コンテンツ・マーケティングとは、コンテンツに関するカンバセーション(ネット上、あるいは直接の会話)を産み出すために、特定の顧客にとって興味があり、適切で、役に立つコンテンツを作成し、配信し、拡散することを伴うマーケティングのことです。

現在では、程度の差こそあれ、ほとんどの企業がコンテンツ・マーケティングを実施しているといっていいでしょう。

アメリカで行われた調査によると、2016年に北米のB2C企業の76%がコンテンツ・マーケティングを取り入れていました。
その費用はマーケティング予算全体の32%を占めます。

コンテンツ・マーケティングにおいて、マーケターはオーディエンス(そのコンテンツを受け取る人。動画の場合には視聴者)としての顧客にとって興味深く、重要性があり、しかも有益なコンテンツをデザインする必要があります。
そのため、コンテンツ・マーケティングの基本原則は、オーディエンスのグループを明確に定義することです。

オーディエンスのニーズや関心を追跡し分析するためには、AIを搭載した分析ツールを活用することが有益です。

分析ツールを適切に活用すれば、マーケターはターゲットにするオーディエンス(顧客)が「カスタマージャーニー」のどの段階にいるのかを明確に把握し、そのオーディエンスに受け入れられる可能性が高いコンテンツを作り、シェアすることができます。

カスタマージャーニーのマッピング

「カスタマー・ジャーニー(Customer Journey)」とは、「製品やサービスを知った顧客が購入・推奨に至るまでのプロセス」を旅に喩えたものです。

コトラー博士は、現在のようなデジタル時代においては、カスタマー・ジャーニーのフレームワークとして、以下のような「5A」を想定すべきだと提唱しています。

コトラー博士が推奨するカスタマージャーニーのフレームワーク「5A」

図2 コトラー博士が推奨するカスタマージャーニーのフレームワーク「5A」

引用)フィリップ ・コトラー+ヘルマワン・カルタジャヤ+イワン・セティアワン 著 恩藏直人 監訳 藤井清美 訳(2017)『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』 朝日新聞出版(電子書籍版)No.1075

この「5A」は、業種に関係なく、どの産業分野のマーケターでも用いることができるように考えられています。

カスタマージャーニーとコンテンツ・マーケティング

カスタマージャーニーの段階のうち、コンテンツ・マーケティングにおいて特に重要な意味をもつのは、「A2」と「A3」です。

「A2」の訴求とは、顧客がブランドに惹きつけられ、ブランドを少数に絞って検討している段階です。
次の「A3」の調査は、顧客が好奇心に駆られて、積極的に調査し、周囲の人やメディア、あるいは直接ブランドから追加情報を得ようとしている段階です。

顧客の好奇心が低いと、「A2」から「A3」への転換率が上がりません。
それは通常、企業が顧客間のカンバセーションをスタ―トさせたり、情報共有の促進に失敗したりすることが原因です。

顧客を「A2」から「A3」へ向かわせるのに、コンテンツ・マーケティングは特に効果的だとコトラー博士は述べています。

「スキップ可能な広告」から得られた学びとは

Googleの広告ヘルプページでは、「スキップ可能なインストリーム広告」の用途を以下のように記しています。

 ● 販売促進
 ● 見込み顧客の獲得
 ● ウェブサイトのトラフィック
 ● ブランド認知度とリーチ
 ● 商品やブランドの比較検討

これらをカスタマージャーニーと関連づけてみましょう。

まず、「販売促進」は、カスタマージャーニーのすべてのプロセスに当てはまり、マッピングしにくいので、ここには注目せず、他の要素をみていきます。

すると、他の用途は、「A1(認知)」、「A2(訴求)」、「A3(調査)」のいずれかの段階に当てはまり、コンテンツ・マーケティングは顧客を「A2」から「A3」へ向かわせるために特に効果的だという、コトラー博士のコンテンツ・マーケティング理論とほぼ合致します。

このように、マーケターは、カスタマージャーニーのどの段階にいる顧客(=コンテンツのオーディエンス)をターゲットにするのか、まずはそれを明確にする必要があります。
そして、その上で、顧客を次の段階へと誘うことができるコンテンツとはどのようなものかを分析し、魅力的なコンテンツを作り、提供しなければなりません。

YouTubeのスキップできるTrue View広告は、コンテンツ・マーケティングのシビアな側面を浮き彫りにしました。
しかし、そのことは、コンテンツ制作に関わるマーケターに大きな学びをもたらしてくれたのではないでしょうか。

横内美保子

横内美保子
博士(文学)。総合政策学部などで准教授、教授を歴任。専門は日本語学、日本語教育。
高等教育の他、文部科学省、外務省、厚生労働省などのプログラムに関わり、日本語教師育成、教材開発、リカレント教育、外国人就労支援、ボランティアのサポートなどに携わる。
パラレルワーカーとして、ウェブライター、編集者、ディレクターとしても働いている。

CCCマーケティングからのお知らせ

ターゲットを明確にし、顧客に合ったコンテンツ作成が重要であることは、動画広告以外の施策においても意識すべき重要なポイントではないでしょうか?

CCCマーケティングでは、約7,000万人のT会員の購買・行動データを用いてターゲティングを行い、郵送DMやメールなどさまざまな手法でアプローチを行うことができます。
下記セミナー(アーカイブ)では、業界別のセグメント例やアプローチ手法、事例を無料でご紹介していますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

ダイレクトアプローチの手法や事例を大公開

※CCCマーケティングでは、セキュリティ上厳重に管理された環境のもと、個人を特定できない状態でマーケティング分析を行っております。
※本コラムに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。

参考)Alphabet Announces Second Quarter 2021 Results p.2

本記事を引用・転載をご希望の方は、事前にお問い合わせよりご連絡ください。

その他のコラム

人気記事ランキング

カテゴリー

ページトップへ戻る