信長、マーケティングで天下獲り|~第6回「信長、サブスクリプションビジネスを学ぶ」~

登場人物

織田信長

信長

 

  

織田信長
言わずとしれた、戦国時代の天下人。
どういうわけか現代にタイプスリップを果たし、現代でマーケティングを学ぶことに。 

英義

 

  

橋場英義(ハシバヒデヨシ)
CCCマーケティング株式会社に務めるプロのマーケティングコンサルタント。
かの“羽柴秀吉”とは、なんの関係もないらしい。

 

 

 

信長、サブスクリプションを知る

織田信長

信長

あー、すまん、信長じゃが、サルはおるかな?

英義

あれ、信長さん、こんにちは。今日はおとなしい登場の仕方ですね

織田信長

信長

お主の反応が薄くなってきたのでな、面白くないので大声で呼ぶのはやめた。
また気が向いたら大声で呼びつけるゆえ、楽しみに待つがよい。

英義

特に楽しみではないので、お気遣いは無用です。

ところで、毎日暑いし、冷たいジュースがおいしい季節ですよね。

バナナジュースの調子はいかがですか?

織田信長

信長

うむ。先日お主から話を聞いてジュースの値段を按配よくしてみたら、これが評判でな。

常連のJKが友人を連れてきて、店が人でいっぱいになることもある。
嬉しすぎる悲鳴の毎日じゃ!

 

英義

嬉しすぎる悲鳴ですか。それはよかったですね!
バナナジュースでは、トップシェアを守れてるんじゃないですか?

織田信長

信長

そこじゃ。いまはかろうじて優勢におるものの、信玄が新たに兵を挙げて来おったら、
たいそう難しい戦になるじゃろう。

織田信長

信長

わしが有利な状況にあるいま、何かの手を打って、

信玄の付け入る隙をなくしておきたいと思うておる。

英義

信玄って、最近伸びてきている『タケダバナナジュース』のことですよね?
この前も言いましたけど、どう考えても武田信玄とは関係ないと思うんですけどね……。

英義

それはともかく、確かにシェア固めのためにも、打てる手は打っておいたほうがいいかもしれません。

織田信長

信長

この前、客が話しているのを耳にしたのじゃが、いまの世では使い放題聞き放題の"ハクションビジネス"なるものが流行っとるらしいな。
そういう流行りものを信長バナナジュースでもできんものだろうか?

英義

……ハクションビジネス?
それは、もしかしたら"サブスクリプションビジネス"のことですか?

織田信長

信長

 

そんな言い方もあるらしい。

英義

そんな言い方しかないです。もし省略したいなら、ハクションではなく"サブスク"です。
でもたしかに、サブスクはひとつの手かもしれません。

織田信長

信長

そこでわしもハクションについてどう思うか、別の家臣に聞いてみたんじゃが、

やつは『そういうの、食べものだったらどうやるんですかねえ?』とどうも煮え切らん反応でな。

 

 

織田信長

信長

そこで、今回はお主に、信長バナナジュースで首尾よくハクションを進める方法があるのか、聞いてみようと思うてな。

英義

しつこいですけど、ハクションではなくて"サブスクリプション"です。
確かにサブスクは、しっかり仕組みをつくって軌道にのせることができれば、安定した収益が見込めますからね。
今の信長バナナジュースの勢いがあれば、やってみる価値はあるかもしれません。

 

 

 信長、サブスクリプションの本質を理解する

英義

念のため、サブスクの定義を話しておくと『決められた金額を払えば、一定期間サービスを利用できる』というものです。

英義

サブスクというと何か新しいもののように思われるかもしれませんが、実はこの仕組みに当てはまるものは昔からあるんです。
たとえば、雑誌の定期購読。半年なり1年間なりの購読料を払えば、その間、雑誌が送られてくるという仕組みですが、基本的にはそのようなイメージですね。

英義

そして、いろいろなサービスのデジタル化が進むにつれて、サブスクで提供されるサービスも、
『モノ』の販売だけでなく、コンテンツなどの体験へと広がっていったんです。

織田信長

信長

どういうことじゃ?

英義

 

たとえば映画を見たり音楽を聞きたいときには、以前ならDVDやCDのようなモノを所有している必要がありました。

英義

それが、動画や音楽などがデジタルコンテンツになったことで、DVDやCDを持っていなくても、いろいろなデバイスで好きな映画やドラマを見たり、音楽を聞くことが可能になりましたよね。

英義

そしてサブスクのサービスを利用すれば、いくらでも映画や音楽を鑑賞するという体験をできるようになったんです。

織田信長

信長

ああ、『月額〇〇円で見放題! 聞き放題!』という広告は、よく見るな。
うーん、思えば、わしも戦国の世ではやりたい放題に暴れておったなあ。

あれでは光秀に討たれても……

英義

急に遠い目をしないでください。
それで、サブスクのサービスといえば、やはり動画や音楽が一般的ですね。

英義

たとえば、動画サービスの『Netflix』ならテレビやPC、スマホなど、それこそ画面のある機器なら、月々800円から1,800円で、映画や過去のテレビ番組を好きなだけ見ることができます。
値段に種類があるのは、画質や同時視聴ができる機器の台数によって、プランが異なるからです。

英義

さらにTSUTAYAでは、月々1,100円で返却期限無くDVDやブルーレイが借りられたり、
約10,000タイトルもの動画が楽しめる『TSUTAYA プレミアム』というサービスもやっています。
ネット上での視聴とリアル店舗での貸し出しという両方が楽しめるのも魅力ですね。

英義

音楽では、『Apple Music』が、約6,000万曲が、月々480円~1,480円で聞き放題になります。
1曲5分くらいだとして、全部聞き終わるのに570年くらいかかりますね!

織田信長

信長

570年とな!

わしの天下もそのくらい続くかのう。

英義

がんばって600年くらい長生きして、続けられるといいですね。
えーと、で、こんな風にサブスクが広がってきた背景には、消費者の価値観が『所有すること』から『利用すること』に変わってきたことがあると言われています。

織田信長

信長

なるほど。

客の目的が、動画や音楽を見たり聞いたりすることにあるなら、その体験を提供しようということか。

 

英義

そうです! 信長さん、冴えてますね! さっきのボケが嘘のようです!

織田信長

信長

うむ。苦しゅうない。しかし、いまの世の連中は、モノはいらんのかのう。
わしが戦国の世におったときには、皆、わしが褒美にやる茶器を涙を流して受け取っておったがなあ。

織田信長

信長

ところで、”でじたるこんてんつ”のサービスが流行っとるということと、

信長バナナジュースがどう関係あるんじゃ?
バナナジュースは実際にそこにあるモノじゃないか?

英義

いい質問です。いまのサブスクは、非デジタルの領域にも広がってきているんです。
ブランドもののバッグを何回でもレンタルできるサービスや、

数ヶ月ごとに車種を乗り換えることができるクルマ乗り放題のサービス、

食べ物系でいえば、毎週新鮮な野菜が届けられるサービスや、
定額で毎日コーヒーを飲めるサービスがあったりと、

リアルなモノを扱ったサービスを提供するサブスクが増えてきています。

英義

消費者が、モノを所有することではなく、

モノを通じて提供されるサービスに価値を感じている、ということなんです!

織田信長

信長

なるほど! 戦国の世でいえば、鎧も刀も自分らで持たず、借り物で済ませておくということか。

織田信長

信長

確かに、鎧も刀も、それを使うことに意味があると思えば、
必ずしも自分で持っている必要はないかもしれんな。
しかし、よう汗をかく者がつけたあとの鎧を借りたら『うわっ! くさっ!』となりそうじゃな。

英義

うーん、鎧とか刀って、武士の心っぽいし、サブスクのニーズがあるのかなあ……

 

信長、サブスクリプション成功の極意を知る 

英義

 

ではここで、事業者側にとっての、
サブスクを運営するメリット・デメリットをまとめてみましょう!  

 

英義

ほかにも、成否を分けるポイントとして注意すべき点には、こんなことがあります。

 

英義

こういったことに当てはまらないサブスクだと、失敗する可能性が高いと思います。
たとえば、投資を回収しようとして新規顧客獲得に注力するあまり、

既存の優良客のロイヤルティが低下するような、短期目線の施策を打つのはおすすめできません。

英義

基本的にサブスクはLTV(ライフタイムバリュー)、

つまり、一人の顧客がどのくらい長い期間サービスを利用してくれるかが重要なポイントです。

英義

だから、顧客のニーズや動きをよく見て常に改善に取り組み、

顧客が日常的に使用しているものを、さらにお得に気持ちよく利用できるサービスを、

長期にわたって維持していくことが大切なんです。

英義

信長バナナジュースの場合、ジュースは日常的に消費されるものだし、

常連客との信頼関係もできているので、

その信頼関係をベースにしてサブスクを始めるのは悪くない作戦だと思います!

織田信長

信長

うむ、わしもそんな気がしてきたぞ。

これで新しいJKも大挙して押しかけてくるかもしれんな!
ますます嬉しすぎる悲鳴じゃ!

英義

ただ、飲食店でサブスクを始めるときの注意点として、

サブスクの施策で獲得した新しいお客さんが増えると、店の雰囲気が変わってしまい、

今までの常連客が離れていくという話も耳にします。

 

英義

なので、さっきも同じようなことを言いましたが、

信長バナナジュースでのサブスクは、新しいお客さんを獲得するための施策というより、
既存の常連さんに向けたお得なサービスという位置づけで始める
といいと思います。

英義

たとえば、週1ペースでひと月に4回来て、毎回400円使ってくれているお客さん向けに、

1ヶ月2,000円で8杯、つまり週2回まで飲めるサービスを提供してみる、とかですね。
利益率は落ちますが、継続して利用してもらえれば安定した売上が見込めるし、

お客さんの囲い込みもできます。

織田信長

信長

うーん、利益が減るのは厳しいかもしれんのう。
また家臣に『飲食店ではそのようなサービスは……』と言われそうじゃなあ。

英義

利益率は落ちるかもしれませんが、

その分、来店した際に、ついで買いをしたくなるような商品を置いておくとか、

少しでもお金を遣ってもらえる工夫をしてみてはどうでしょう。

英義

信長バナナジュースなら、

サブスクを始めるにしても基本的に大掛かりな追加投資は必要ないし、

価格設定の検証をしながら既存顧客へのサービスをしっかり維持できれば、

やってみる価値はあると思います。

英義

まず、期間限定みたいな形で試験的に導入して、
お客さんの反応も見てみたらいいんじゃないでしょうか。
いずれにせよ、サブスクは長期的な視点で進める施策なので、
ちゃんと説明すれば、家臣さんにも理解してもらえると思いますよ!

織田信長

信長

うむ。案ずるより産むが易し、かもしれんな。
思えば、本格的に戦に鉄砲を使い始めたのはこのわしじゃ。

バナナジュース業界にも、さぶすくで破壊的イノベーションを持ち込んで、信玄勢を駆逐してやるわ!

英義

破壊的イノベーションかどうかはよくわかりませんが、新しいチャレンジではありますよね。
ぜひサブスクモデルを成功させてください!

織田信長

信長

うむ、サルよ、今日も勉強になった。
ここまで教えてもらえれば、これから先、自分たちでなんとかやっていけると思うとる。
今まで世話になったことに、礼を言うぞ!

英義

とんでもないです。またわからないことがあったら、何でも聞きに来てくださいね!
信長さんが『天下布商』を実現する日を楽しみにしています!

 

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