シニアに寄り添うテクノロジー

世界保健機構(WHO)の定義では、65歳以上の人のことを“高齢者”としています。日本では、65~74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼び、2022年9月15日現在推計で日本の総人口に占める割合は29.1%、人口は3627万人(※総務省統計局発表)となり過去最多となっています。人口の3割を占めるこの層の生活スタイルや価値観、行動が、経済に与える影響を考慮し、ビジネスを進めることを求められている方も多いのではないでしょうか。
 CCCマーケティング総合研究所では、生活価値観や購買に関する意識調査を実施し、世代や年代ごとの意識の把握に努めています。今回は、2022年6月に実施した生活者意識調査より高齢者の一歩手前である50歳代を含んだ50歳~84歳の方を対象に情報源やテクノロジーへの期待を見ていきたいと思います。

よくみる情報源は、折り込みチラシよりもインターネット広告・SNS上の広告
 まず、最初に、情報源としてどのようなメディアを“よく見ている”のかを確認していきましょう。図1は、全体の回答が高い順に上位10位までを表示しています。
 ランク上位は、テレビやテレビCM、実際のお店、といった情報源が並びます。そして、上位10位のまでのうちに、4つインターネットメディアが入っています。今回の調査では「折り込みチラシ」(35.2ポイント)よりも「インターネットの広告・SNS上の広告」(36.6ポイント)が、1.4ポイントとわずかながら上回る結果となりました。
 年代別に見ると、「折り込みチラシ」は、女性の60歳以上と男性の65歳以上が情報源としているようです。そして、「折り込みチラシ」を上回るポイントであった「インターネットの広告・SNS上の広告」を見ているのは、より若い男性50歳~74歳以下が中心であることが分かります。
 「折り込みチラシ」を情報源とする回答ポイント数と「インターネットの広告・SNS上の広告」の回答ポイント数を比較すると、男性50歳~74歳以下では「インターネットの広告・SNS上の広告」の回答が上回っており、情報源として活用されていることがわかります。この結果から推察すると、商品に関する情報も徐々にチラシからインターネットの広告・SNS上の広告にシフトしている可能性もありそうです。次いで、インターネットメディアに注視して見ると、女性と比較して男性が「動画サイト」「ポータルサイト」を情報源として利用する傾向が見えており、年齢では74歳以下の男性がよりインターネットへ情報源をシフトしている様子が伺えるようです。


【図1】

シニア 情報源 動画 インターネット 折り込みチラシ

信頼している情報源に「価格比較サイト」が躍進
 図2は、情報源として“信頼している”と回答されたメディアについて上位10位までを表示しています。
 ここで注目するのは、図1の“よく見ている”情報源には入っていなかったメディアが2つランクインしている点です。上位5つめに「価格比較サイトやクチコミ・レビューサイト」、8つめに「企業のWEBサイト」が入っています。
 どちらも女性よりも男性の利用者が、信頼を寄せていることがわかります。また、利用者の年代を見ると「価格比較サイトやクチコミ・レビューサイト」が男性の60~74歳の層に信頼されているのに対し、「企業のWEBサイト」はより年齢の高い70~80代が信頼を寄せている点は興味深い点といえるでしょう。

 また、図1の情報源としては上位となっているものの、情報源として“信頼している”ものの上位に入っていないのは「インターネットの広告・SNS上の広告」と「動画サイト」となりました。高齢者が、インターネットメディアと接触し、冷静に情報を見極めようとしている様子が伺えます。

【図2】
シニア 価格比較 メディア 信頼 テレビ
次なる高齢者の情報収集は?
 次いで、インターネットメディアで情報収集する状況を確認してみたいと思います。
 図3は、 “購入時にみんなが持っているものや、ランキングを参考にしている”状況です。
 
全体の数字を確認すると、23.6ポイントの人たちが、そして性別で見ると、男性と比較して女性がより“購入時にみんなが持っているものや、ランキングを参考にしている”状況がわかります。
 男性の55~59歳以外の64歳以下の男女の層すべてで“購入時にみんなが持っているものや、ランキングを参考にしている”を参考にする率が全体を上回っています。
これらの状況から、これから高齢者になる人たちのインターネットメディアでの情報収取は、着実に広がりつつあるといえるのではないでしょうか。

 なお、ダウンロード資料には、”家電などお試しサービスがあれば事前に試してから購入を決める”状況についてもデータを掲載していますので、参考にしていただけると幸いです。

【図3】
みんなが持っているもの 流行り ランキング ランキング上位 ランクイン
テクノロジーの発展で“移動”に期待する高齢者

 ここまでで、旧来の4マスメディアや実際の店舗、更には紙メディアだけでなく、インターネットを駆使して情報を収集しはじめた高齢者たちの姿が見えてきました。最後に、未来に向けた質問をみていきましょう。
 図4では、“テクノロジーの力でより便利に、良いものになって欲しいもの”を聞いています。

聴取した48項目のうち、上位10位までを表示しました。最も、高い回答は「車・ドライブ」(17.9ポイント)になりました。「車・ドライブ」以外にも、「国内旅行」(13.7ポイント)、「海外旅行」(8.1ポイント)がランクインし、移動手段に関する高齢者の強い期待が見受けられます。
 昨今では、高齢ドライバーの事故などがニュースに取り上げられ、自動車免許返納がニュースで取り上げられることも増えています。一方で、移動手段が車に限定されている地域も多く、生活していく上では車が生活必需品である生活者も一定数存在していることでしょう。2021年の東京オリンピックでは、選手村をトヨタ社製の自動運転バスが運行していたことがニュースになりました。遠くない未来、技術の進歩により、新しい移動手段の登場が生活者の日常や旅を、より豊かにしてくれることを高齢者は期待しているのかもしれません。

 今回は、高齢者の情報源のインターネット利用状況から、テクノロジーへの期待についてみてきました。旧来からある情報源との接触も継続しつつ、インターネットを冷静に使い始めている高齢者たちの様子を見ると、新しいテクノロジーを、よりよい生活のいち手段として取り込む高齢者の姿が見えてくるのではないでしょうか。


【図4】
テクノロジー より便利 車 オートドライブ

 
 
他の調査は、こちらからご覧になれます▶生活者意識調査

【調査概要】
調査地域:全国
調査対象者:男女16~84歳のT会員
有効回答数:11,033サンプル
調査期間:2022年6月23日(木)~2022年6月30日(木)
実査機関:CCCマーケティング株式会社(現CCCMKホールディングス株式会社)
調査方法:インターネット調査(Tリサーチ)
 
本調査の集計表を販売しております。
詳しくは、下記をご確認の上、お問い合わせください。
 
【調査内容】
質問数:全22問
<質問項目>
・健康状態と活動
・生活価値観/就労意識/購買意識
・不安と期待
・情報源
・興味関心事項
・より便利になってほしいもの
・各行動の実施人数
・世の中の話題と自分の関心
・社会とのかかわりを感じる場所 等
<属性項目>性別、年代、居住都道府県、同居者、職業、未婚者、住居形態、世帯年収、1か月に自由に使えるお金

【集計内容】
・同居形態別クロス集計

【注意事項】
・集計は日本の性年代人口構成比に合わせて調整しています。
・集計対象数が極端に少なくなる質問は出力していません。

【商品名/番号】
品名:性年代別意識調査(2022年6月)
番号:22-010-002
【価格】
集計一式:90,000円(税別)
※シニア(50~84歳)のみを対象にした集計表は、63,000円(税別)
             
                                                                          


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担当:杉浦・斎藤
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