【産業動向レポート】_2021年4月

本レポートは、CCCマーケティング株式会社がT会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。

 

コロナ禍が生む喫食シーンの転換
 

 新型コロナウイルス感染症は変異型が拡大し、東京都をはじめ、北海道、京都・大阪府、兵庫、愛知、岡山、広島、福岡、沖縄県に緊急事態宣言が再発出され、その他大都市近郊の各県でまん延防止等重点措置が講じられるなど、再び猛威を振るっています。しかし、前年ほどの人流抑制とはなっていないものの、アルコールの販売が禁止されているエリアでは外食店のディナー売上減少など、大きな影響が出てきています。一方、スーパーマーケットに代表される内食型需要の業態は堅調な動きを示し、業態間の格差はさらに広がりつつあるようです。

 外食・中食・内食はコロナ禍の環境変化によって「内食有利」の状況が続いていますが、ポーションやサイズ変更、原料や素材の見直し、高付加価値型の商品投下を行い、巻き返しの動きを見せているコンビニエンスストアなど、中食がやや盛り返しつつあります。スーパーマーケットの売上構成をみても、やや調理疲れの影響もあるのか、中食・惣菜はじわじわと回復する動きを見せているチェーンも出てきており、中食の復活に向けた動きが様々な業態で見てとれる状況です。大打撃を受けている外食業界でもテイクアウト、弁当販売は数少ない戦える領域になっており、中食化対応は企業の生き残りの命運を握りつつあります。

こうした内食・中食・外食のせめぎ合いの中で、注目される動きが「間食需要」「家飲み需要」の取り込みです。コロナ禍によりライフスタイルは様変わりし、オンライン会議の増加は一部で昼食時間の消失といった動きにもなっています。“イエ勤務”の増大により、生活者の中には1日2食、1日多間食といったスタイルも拡大しており、食事とおやつの間とも言える“中間食”に相当するジャンルはおしなべて好調に推移して、注目されます。

 一方、需要増が顕著な「家飲み」は外食の落ち込みと連なる動きとなっていますが、「外食に行けない」という代替需要から転換し、より積極的な家飲み層を獲得しつつあるようです。酒類販売を強化してきたコンビニエンスストアでは、おつまみはもちろん、“おうち居酒屋”を支えるような惣菜販売も好調に推移しており、「家飲み」攻略は業績差を生む要素にもなってきています。壊滅的な打撃を受けている外食業界ではテイクアウト強化が拡大し、中食化対応は進んできていますが、家飲み拡大の起点となったアルコール需要の落ち込みを打開する策はあまり進展していません。しかし、中食化対応が進んでいる企業の中には「家飲み」に対応できる要素は十分あるところが少なくありません。コロナ禍による生活者のライフスタイルの中で伸長してきているフィールドをいかに早く発見し、対応していくことが出来るか。「間食需要」「家飲み需要」は内食・中食・外食のシェアを変える喫食シーンとなっていきそうです。



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