【産業動向レポート】_2021年7月

本レポートは、CCCマーケティング株式会社がT会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。

ライフスタイルの変化がもたらす“機会”

コロナ感染症の感染者数は再び急速に増加し、小売・サービス業への影響はさらに大きくなっています。感染者数の増加は利用者数に影響が出ているのはもちろんですが、最近の爆発的な拡大は店員の方々の感染増加にもつながっており、営業自粛に追い込まれている店舗が増加してきています。今後、業績維持を図る上では自社内での感染者数をいかに抑えていくかも重要なポイントになりそうです。

 コロナ禍によって生活者のライフスタイルは大きく変化しています。リモートワークの増加やオンライン会議の増加は「働く場所」の変化をもたらし、食べる場所、食べる時間にも大きな変化を及ぼしています。コロナ禍前はオフィスにおけるデスクフードはほぼ常態化し、一定の市場を構成していましたが、コロナ禍によってオフィスでの喫食を禁止する企業も増え、コンビニエンスストアが得意とする需要機会は大幅に減少しています。

また、夜間の人の動きは大幅に減り、繁華街の深夜時間帯については壊滅的な打撃を受けており、この時間帯を主戦場としてきたパブ・居酒屋、ラーメンなどの業態は売上維持が困難な状況が続き、業態転換やロケーションの見直しを迫られています。大幅な人流減少からディナー帯の売上減少が目立っていますが、ランチ時間についても利用時間帯や利用単位人数の変化などが顕著であると外食業界内では言われています。

以前は11時~14時ぐらいまではランチ需要帯として期待できましたが、現在はランチの立ち上がり時間はやや後ろにずれ込み、流動は13時以降、大きく落ち込むロケーションが目立っているようです。

 こうした変化を受け、外食企業各社は需要の取り込みに向け、新たなサービスの開始やランチタイムの時間設定見直しなどを行っています。ランチ・ディナータイムの見直しを行った企業によると、営業休止、時短営業などが迫られている現在の状況では、安定的にパート・アルバイトを調達することが難しく、少ない人員で運営できる時間に営業することを決めたところ、売上ベースではダウンしたものの利益ベースでは改善が図られたそうです。また、ランチ営業をやめ、アフタヌーンティーのみの営業としたレストランでは単価改善、利用増につながり、結果的にランチ時間で激しい競争をしていたときよりも大幅な利益増につながっているという事例もあります。さらに、ランチ営業時間の1時間前後はテイクアウトのみの営業とし、売上機会増を図った企業は人流減によってランチ利用者数の微減が続く中、テイクアウト利用者数がイートイン営業を上回り、新たな需要の取り込みに成功しているようです。

 コロナ禍によって生活者のライフスタイルは変化を余儀なくされています。この変化によって、すべてがマイナスになるわけではなく、小さな需要のタネが各所に生まれています。変化の中には必ず機会が存在すると言われますが、コロナ禍においてはポジティブに変化対応する姿勢がますます重要になってきそうです。

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