2022年1月

本レポートは、CCCマーケティング株式会社がT会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。
 

内食をも狙う外食?

オミクロン株の拡大によって、利用客数にブレーキがかかる小売業態が多くある中、テイクアウト・中食ジャンルは好調な動きを示しています。巣籠もり需要が長く言われる中、好調に推移してきた内食市場は、徐々に“内食疲れ”の傾向が見え隠れしており、今後の動きが注目されます。生鮮三品については、消費好調だった肉類の価格上昇がブレーキ要因となり、利用の減速傾向が拡大してきており、中食・内食のシェア争いに影響を及ぼしてきそうな気配です。

 外食についてはゆるやかではあるものの客数は回復の兆しが出てきています。特に朝食の時間帯は営業している業態のほぼすべてでゆるやかながら客数が増加傾向にあります。今まで10時までとしていたモーニング提供時間を11時までにしたり、モーニングメニューの選択数を増やしたり、地道な努力を行っている企業の取り組みが利用層に理解されてきたことが結果につながってきているようです。また、「朝ラー」、「朝カツ」といったモーニング需要の取り込みが弱かった業態で、モーニング営業を行い、集客につなげているところが目立ち、市場の変化を感じさせます。都心部の一部ではディナー需要での営業が中心である居酒屋業態の中にも、おにぎり、汁物を組み合わせた朝食販売を行う企業も出てきており、さらなる市場の変化を予感させます。

 ディナー時間帯については依然として不安定な状況が続くとみられ、売り上げ増に向けて、モーニング需要やランチ需要など、時間を前倒しして売り上げを作ると言う視点は外食市場においては必要かも知れません。

 営業時間帯のシフトは今後もさらに進む可能性が高いですが、更なる売上拡大の動きとして注目されるのが外食店における生鮮三品の販売です。外食店の長く続く不振は、業務用卸の業績にも大きな影響を及ぼしています。外食店向けの生鮮商材はスーパーなどへの提供にシフトする動きも見られますが、価格や販売個数などの関係ですべての商材が他業態にシフトできるわけではありません。こうした中、一部の外食店で生鮮三品を販売する動きが出てきています。外食店によってはテイクアウトでのバリューが創出しにくく、食材を販売する方が容易なケースもあります。また、卸先との関係維持のためにも一定の取引を維持するメリットもあり、注目される動きです。利用客にとってはなじみの店で販売される生鮮品は、商品クオリティの信頼性と共に、外食店の支援という側面もあり、肯定的な意見が多く寄せられているようです。

 業務用卸、利用者、外食店の“三方良し”となっているこうした取り組みは、コロナ禍を乗り切る外食店の知恵の産物として生まれた動きですが、店舗内に専用販売ブースを設けるなど、拡大の可能性を示しつつあります。中食ではなく一足飛びに内食需要の取り込みを図る外食店の新たな動きは、外食・中食・内食のシェア争奪が激化する中で、他業態の複合化進展にも影響を及ぼす可能性があり要注目です。

 

 

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担当:杉浦・斎藤