2022年3月

本レポートは、CCCマーケティング株式会社がT会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。

 

新たな動きは“健康”から

 まん延防止等重点措置が解除され、全国で流動が回復し、都道府県を超える動きも活発化してきています。流動拡大と共に、長く短縮営業が求められていた飲食店にも利用客が戻り始め、東京都では飲食店の利用人数制限が1グループ8人まで緩和されました。まだ、コロナ禍前には程遠い利用状況ではありますが、外食店の需要は確実に回復に向かおうとしています。
 コロナ禍にあって生活様式は様々な点で変化が起きています。長期化した自粛生活から運動不足により“コロナ太り”が言われるようになり、免疫力・基礎体力アップを目指し、食生活に以前よりも気に掛けるようになったという声もよく聞かれます。
 こうした流れを受けて、外食・中食・内食で「健康」が語られる場面が増加してきています。外食ではカロリー表示は以前から行われていましたが、コロナ禍以降、“糖質ゼロ”、“高たんぱく質”を冠するメニュー、メニュー当たりのたんぱく質量や繊維質量を表示する動きが増加しています。また、「おいしく楽しく適正糖質」の摂取を推奨する“ロカボ”メニューを導入する外食店も都心部で徐々に増加してきており、コロナ禍における健康食の流れはさらに加速していきそうな勢いを見せています。

 一方、中食・内食については「大豆ミート」に代表される“代替肉”や「オートミール」などがコロナ禍を受けて需要拡大してきており、関連商品がにぎわいを見せています。中でもオートミールは国内においては裾野が広がらず輸入商品がほとんどでしたが、国内のシリアルメーカーが相次いで参入してきているほか、オートミールを材料としたお菓子、加工食品など、活用商品の開発も進んできており、今後、国内で市場定着していくのか注目されるところです。また、同様に注目されるのが食後の血糖値上昇度を示す指標のGlycemic Index(グリセミック・インデックス)の値が小さい「低GI食品」です。大麦、玄米、全粒粉などが低GIの食材として知られていますが、これらを活用した商品はすでにコンビニエンスストア内の惣菜・パンなどで展開され、徐々に定着拡大してきており、その流れはスーパーマーケットや中食の世界にも波及しようとしています。
 「健康」は、食の世界においては一部の層に受けるもので広がりは出にくいとされてきましたが、コロナ禍により生活者の意識、ライフスタイルは確実に変化してきており、内食・中食・外食の各市場において「健康」要素は重要性が増してきています。今後の内食・中食・外食のシェア推移には「健康」要素が大きく影響してくる可能性もあり、健康に連なるトレンドに注視していく必要がありそうです。

 

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