2022年7月

本レポートは、CCCマーケティング株式会社がT会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。

次なる業態進化による競争ステージへ
 新型コロナ感染症第七波の影響から回復途上にある外食の利用がやや減速傾向にあるようです。また、全国的なこの夏の高温は調理敬遠につながり、惣菜利用を押し上げる結果となっています。デパ地下でも惣菜は好調を維持し、業態横断的に中食市場に追い風となる状況が続いています。新型コロナ感染症が国内に拡大した当初は都心部、特にオフィス街の利用が大幅に落ち込み業績悪化したコンビニエンスストアですが、今年に入ってからは堅調な動きで推移しています。他の業態よりも早く利用回復に向けた商品の見直しを進めた結果が現在の好調につながっていますが、コンビニエンスストアはさらなる利用拡大に向け、動きを活発化させている点が注目されます。
 コロナ感染者数の増加は、今までのコンビニエンスストアの利用を変え、冷凍食品の拡大につながりました。冷凍食品はスーパーマーケットやホームセンターの得意とするフィールドでしたが、外食店コラボなどの高価格帯商品で需要を刺激し、コンビニエンスストアの冷凍食品は他業態とは異なる形で定着してきています。スイーツやフルーツの冷凍食品も好調な動きが続き、今後もジャンル定着は進んでくるとみられます。
 一方で食品以外の商品ジャンルも強化の動きが活発化しています。セブン‐イレブンでは100円均一大手のダイソーの商品展開により生活雑貨の強化が図られています。コンビニエンスストアの生活雑貨は緊急時対応のトーンでの商品が多くなっていましたが、ダイソー商品の導入により日常的な利用への対応を強めています。対抗するローソンでは無印良品の導入が始まり、同業他チェーンとの差別化が図られています。生活雑貨、文具、食品と無印良品の商品が並び、店内の雰囲気も変化しています。独自の商品強化で好調が続くファミリーマートでは、デザイナー・落合宏理氏のデザインによる衣料品の新PB「コンビニエンス・ウェア」を導入しました。同社のカラーを使用したデザインソックスが話題化し、ヒット商品となっています。
 大手の活発な動きが目立つ一方で、ヤフーが物流拠点とリアル店舗を融合したコンビニエンスストア型店舗を出店し、注目されています。「Yahoo!マート by ASKUL」は、日用品や食品2,000点にも及ぶ商品を、出前館のサービス上で販売し、最短15分でユーザーに届ける「クイックコマース」で新たな需要の取り込みを目指しています。また、外食大手のゼンショーも「さくらみくら便利店」を展開し、独自のコンビニ業態の実験に取り組んでいます。同業態は店内調理した弁当で、外食ならではの強みを活かし、先行チェーンとの差別化が図られています。
 生活に密着し進化を続けてきたコンビニエンスストアは新型コロナウイルス感染症による消費転換を新たな機会とし、さらなる進化を続けています。衣料・生活雑貨とコンビニエンスストアで取り込みが後れていたジャンルの強化は新たな利用を引き出し定着していくのか、今後の動きが注目されます。

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※レシーカとは、CCCマーケティング株式会社がT会員に提供する家計簿アプリ。
レシーカユーザー(約5万人)のレシートデータを分析することができる。


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CCCマーケティング総合研究所
担当:杉浦・斎藤