データを活用したクラウドファンディングによるファンの可視化に挑戦

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サントリーコミュニケーションズ株式会社

デジタルマーケティング本部 デジタルコミュニケーションデザイン部 神藏ほのか 氏

サントリーコミュニケーションズ株式会社(以下、同社)は、サントリーグループにおけるマーケティング・コミュニケーションを事業領域として展開しているグループ会社です。

同社では、消費者とのコミュニケーション施策としてSNSの公式アカウントでの情報発信を実施していましたが、さらなる若年層への訴求力向上を目的として、公式バーチャルYouTuber(以下、VTuber)の起用を決定。2018年に、サントリー公式VTuber「燦鳥ノム」(読み:さんとりのむ)をデビューさせ、VTuberを活用したメディア施策の展開を始めました。

そして2020年11月から、CCCグループのクラウドファンディング「GREEN FUNDING」が提供する、Tポイントを使ったファンディング「GREEN x T-POINT」を導入。こちらの仕組みを使い、「燦鳥ノム」の支援者獲得を進めると同時に、ファンサービス「燦鳥ノムカードクエスト」を開始しました。

同社が「GREEN FUNDING」を活用することで、どのような効果があったのか。サントリーコミュニケーションズのデジタルマーケティング本部 デジタルコミュニケーションデザイン部 神藏(かみくら)氏にお話をうかがいました。

効果 クラウドファンディング支援者のTカード利用データをもとに、施策の効果検証が可能に。ファンとのコミュニケーションの確立と自社商品販売増という成果を検証できた
施策 サントリー公式VTuber「燦鳥ノム」を立ててコンテンツを展開する中で、CCCグループが運営するクラウドファンディングを通じたファンサービスも提供
目的 ブランド名ではなく企業名で製品を選んでもらうため、若年層を中心に新しいコミュニケーションを実現したい

若年層とのコミュニケーションをより強いものに

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サントリー食品インターナショナル株式会社は、ミネラルウォーターから缶コーヒー、茶葉飲料など、幅広い清涼飲料水のラインナップを揃え、食品事業を展開しています。
その中で、サントリーコミュニケーションズ株式会社が担う消費者とのコミュニケーション施策として、公式SNSによる情報発信に取り組んでいましたが、もう一歩踏み込んだ施策の必要性を感じていました。

神藏氏はこう話します。
「清涼飲料水は、基本的に、企業名ではなく製品ブランドで選ばれる商品です。そのため、同じ会社のなかでも、認知度には差があります。そのような状況でブランドを一括できる企業名である『サントリー』を主語とした新しいコミュニケーションを進めることで、会社・ブランド全体の認知向上を図ろうと考えました」

そこで、ネットに親和性の高い若年層をメインターゲットに設定。検討を重ねていくなかで、同社が着目したのが、「VTuber」の活用です。
ただ、当時(2017~18年ころ)のVTuberは、少しずつメディアで注目され、ネット上でも人気が上昇し始めた段階。
企業公式としてはかなり早い段階でのVTuber起用と言えますが、その狙いはどこにあったのでしょうか。

「メインターゲットにした若年層は、日常的に膨大な情報に接しています。そのなかで、一般的なオウンドメディアでの情報発信では、本当にリーチできるかわかりません。『面白くて、選んでもらえるメディア』でなければと思っていました。そこで、先進的でキャラクター性のあるVTuberを立てることで、新しい形のオウンドメディアが作れるのではないかと考えました」(神藏氏)

企業の公式VTuberなど、まだほぼ皆無の状況でしたが、リサーチを進めたところ、Vtuberは、幅広い若年層に支持されていることがわかりました。それを受けて同社では、先進的ともいえる企業公式VTuberの開発を決定。そして2018年8月にデビューを果たしたのが、サントリー公式VTuber「燦鳥ノム」です。

「他のVTuberとはキャラクターが重ならないこと、企業の公式Vtuberという制約があることを踏まえながら、開発を進めました。いろいろな条件をクリアしつつ、「燦鳥ノム」を通じた新しいコミュニケーションへの挑戦をすることができました」(神藏氏)
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クラウドファンディングの仕組みも活用

デビュー以降、企業が運用する公式VTuberという話題性とユニークなキャラクターで、さまざまなメディアから注目された「燦鳥ノム」は、順調にチャンネル登録者数を増やしていきます。そして同社では2020年11月に、CCCグループのクラウドファンディング「GREEN FUNDING」が提供する「GREEN x T-POINT」を導入し、「燦鳥ノムカードクエスト」のサービスを開始しました。

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「GREEN x T-POINT」とは、現金ではなくTポイントによってプロジェクトを支援する、いわば「ポイントファンディング」です。ユーザーは、商品やサービスの購入で獲得したTポイントを使って「推し」のプロジェクトを支援することでリターンを得られる仕組みで、「燦鳥ノムカードクエスト」では、支援をするとカードガチャを回すことができ、新しい表情やポーズなどを描いたデジタルカードなどがもらえるというリターンが用意されています。

クラウドファンディングは、通常、スタートアップや個人がプロジェクトを実現するための資金調達手段として利用するものと捉えられがちですが、同社が「GREEN x T-POINT」を導入した理由はどこにあるのでしょうか。神藏氏はこう説明します。

主な目的は、"ファンとの接点づくり"です。チャンネル登録していただいた『燦鳥ノム』ファンの方々に、コンテンツを見ていただく以外にもっと喜ばれる方法はないか、常に模索していました。クラウドファンディングによる支援とリターンという形であれば、支援くださったファンとさらに強いコミュニケーションが実現できるうえ、リターンという形でより燦鳥ノムを通じて楽しんでいただける機会を提供もできると考えました」

しかも「GREEN x T-POINT」は、現金ではなくTポイントによる支援なので、参加のハードルが低いこともメリットと感じたと言います。

「支援者が貯めたTポイントは、すべて『燦鳥ノム』プロジェクトの支援に回ります。そこまでしていただくのは非常にありがたいことです。Tポイントを活用した『GREEN x T-POINT』ならではの成果ではないでしょうか」(神藏氏)
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支援者のTカード利用データで、施策の効果検証を実現

神藏氏はまた、マーケティング的な側面での「GREEN x T-POINT」導入の成果についても説明しました。

「『燦鳥ノム』の施策を進めるなかで、課題となっていたのが、ファンの属性や商品購入への寄与などの効果測定でした。YouTube上では、公開したコンテンツの評価はわかるのですが、マーケティング的な調査は難しく、手探り状態だったのです。そのことをお付き合いのあったCCCマーケティングさまにご相談したところ、ご紹介いただいたのが「GREEN x T-POINT」だったことも導入のきっかけでした。そして実際『GREEN x T-POINT』により、Tカード利用データによる支援者の性別・年齢などの属性や購買実績の分析が可能になったのは大きな成果だったと思います

そして同社が、CCCマーケティングの協力のもと「燦鳥ノム」の支援者のデータを収集、分析したところ、支援者は10~30代の男性が中心となっていること、さらに支援者の間では、サントリー製品の購入が増加していることなどが見えてきたといいます。
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「支援者の志向性などをレポートいただきました。支援者の購入率が1.6倍になるなど、清涼飲料だけではなく、アルコール含め、サントリーというメーカーを応援していただけていることがデータからも見えてきました。結果的に、『燦鳥ノム』の活動によって、サントリー製品をより身近に感じていただけていることがわかり、燦鳥ノムの活動は、確実にお客様との距離を縮めることができたのではないかと自信を持つことができました」(神藏氏)

支援者のなかには「燦鳥ノム」のファンになったことで、同じカテゴリーの製品を買うのであれば、サントリーにする方がいることがデータにもあらわれていました。「燦鳥ノム」の活動によって、企業指名での購入という成果も生み出すことができたようです。

神藏氏は、今後の活動について、次のように話します。

「私たちは、『燦鳥ノム』のファンの方々に喜んでいただくのが一番の希望だったので、『GREEN x T-POINT』によってデジタルインセンティブの提供が実現できたことを非常にうれしく思っています。これからも燦鳥ノムと一緒に新しいことに挑戦していきたいと思っていますので、これからもCCCマーケティングさんがお持ちのデータやさまざまなアセットを活用しながら、より多くの皆さんに喜んでいただける取り組みを一緒に進めていきたいですね」
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